アルカリ土壌を改良したい。手頃な酸性資材はないか? そのヒントはツツジ科の植生観察にあり!?
ピートモスに代わる酸性資材、みぃつけた!
アルカリ土壌の改良材探し
硫黄
我が庭(含め辺り一帯の土地)がアルカリ土壌であることが判明してから、その改良方法について調べた。結果、硫黄の粉末が最も強力であることがわかった。
土壌改革 (微粉硫黄99.7%製剤) 20kg
土にまぜると、土壌微生物の作用により土が酸性化する。酸性土壌を好むブルーベリー農園などで使われる。
4.0。安定の酸性っぷりで、頼もしい。
これを混ぜるのがてっとり早そう。ただ、我が庭は有機物が少ない。有機物の少ない土壌も、植物の生育には向かない。そこで、アルカリと有機物不足を一挙に解決するべく、酸性の有機資材を投入する方がより良いのでは? と思うに至った。
そこで、有機資材、具体的には植物性の堆肥等のpHを計測し、酸性資材を探してみることにした(pH計測のやり方については、「土壌pHを測る」と同じ)。
有機資材のpH
ピートモス
いわずと知れたブルーベリー用土。主に水苔類が腐食化したもの。ブルーベリーのみならず、他の植物の培養土にも使用される。手持ちのカナダ産があったので、計測してみた。
松葉堆肥
近隣で撮影 |
ナツハゼという植物がある。日本に自生するワイルドブルーベリーともいうべき、ツツジ科の落葉低木だ。秋になると黒い実が熟し、食べるとほの甘く、すっぱい。紅葉もきれいなので庭木に使われることもある。
このナツハゼ、ブルーベリーと同じツツジ科なので、やはり酸性土壌を好む。が、近隣の登山道でよく見かける。えっ、このアルカリ大地になぜ!?
そこで、よくよく思い返してみると、ナツハゼを見かけたポイントは、すべて松林の周辺だったのだ。
ナツハゼの株元には松葉が堆積していた……。
つまり、松葉が酸性なのかッ?
ということで、現地に赴き、松葉堆肥(松林の腐葉土)のサンプルを採取してきた。気になる計測結果は……
きたこれ! ほんとに酸性だったのでビックリして感激。
広葉樹の腐葉土
アルカリ大地が広がる当地であるが、春になれば、山裾にミツバツツジが咲く。これもやはり、ツツジ科で、酸性土壌を好んで然りなのに。松葉でなくても、広葉樹の腐葉土でも酸性なのだろうか?
ということで、広葉樹の腐葉土サンプルも用意。これは、昨シーズンに前面道路の落ち葉を掃除した際、落ち葉を土嚢袋に詰めて庭先に転がしておいたもの。1年経過し、すっかり土に還ったようだ。
7.0。意外と中性だった……ミツバツツジはそこまで酸性でなくても生育可能なのかも?
もみ殻堆肥
今シーズンせっせと仕込んだもみ殻堆肥。これはどうだろう?
6.5強。腐葉土よりもやや酸性だ! 思わぬ伏兵現る。
海藻堆肥
海藻には海のミネラルが含まれ、良い堆肥になるらしい。ビーチコーミングにでかけた折、試しにいくつか拾ってきた。その後、庭先に広げておいたら、乾燥ひじき状態になっていた。まだ堆肥化していないけれど、砕いて水に溶き、計測してみる。
8.5。ぎゃー。ミネラルのせいか(?)庭土以上のアルカリを示す。ただ、これはまだ堆肥化していない状態のもの。堆肥化する際に、よくわからないけどアレがナニしてpHが変化することもあるかもしれない。とりあえず、暫定の数値としておこう。
まとめ
一連のpH測定によって、このような分布が明らかになった。
庭土を酸性に持っていく有機資材としては、ピートモス(コスト高い。環境問題もあるらしいし)よりも、身近な松葉堆肥が有力候補となった。松葉を拾える場所を探してみよう。
【2023/09/22追記】
堆肥化(分解)されていない生の松葉は、雑草抑制効果があるが野菜の成長抑制効果もある諸刃の刃。少なくとも2年以上かけて堆肥化しなければ、作物の成長に影響が出る(「月刊現代農業2021年5月号68~71頁」)。松葉を使うときはしっかり堆肥化しよう!