化学農薬を使わずに、野菜に付く害虫・カメムシを防除したい。ニンニク、トウガラシ、ニーム……いろんな方法を試してみて、実際に効果があったのは?
こちらは、7月から栽培している黒豆(エダマメ)の、
膨らみ始めたサヤを、
吸水するにっくきカメムシ!
エダマメに付きやすいのは主に、マルカメムシ、ホソヘリカメムシ(写真)。4~10月に発生する。サヤを吸水されると実が膨らまなくなってしまう。ナス・ピーマンには、枝を吸水するホオズキカメムシが付きやすい。
つい先日まで全く見かけなかったから油断していた。サヤが膨らみ始めたタイミングで寄ってきたらしい。オーマイガッ! もしかしたら、収穫を諦めなければならないかもしれない(泣)。
悔しいがしかし、せっかくなので対策をいろいろ試してみよう。将来的には有機栽培(化学農薬なし)でやっていきたいので、いわゆる自然農薬と呼ばれるものなどを片っ端からやってみた。
つい先日まで全く見かけなかったから油断していた。サヤが膨らみ始めたタイミングで寄ってきたらしい。オーマイガッ! もしかしたら、収穫を諦めなければならないかもしれない(泣)。
悔しいがしかし、せっかくなので対策をいろいろ試してみよう。将来的には有機栽培(化学農薬なし)でやっていきたいので、いわゆる自然農薬と呼ばれるものなどを片っ端からやってみた。
効果があった方法
結論から言うと、効果があったのは、次の3通り。
殺虫するには除虫菊スプレーまたは捕殺、50~60℃のお湯をぶっかける(熱殺)。
忌避するには防虫ネット。
方法:カメムシめがけてスプレーする
効果:カメムシが息絶える、または虫の息となる。スプレーした部分には、2日ほどカメムシが寄り付かなくなる。
【補足】
除虫菊とは……キク科ヨモギギク属。殺虫成分としてピレトリンを含有しており、殺虫剤や蚊取り線香の原料として利用された(現在は合成ピレトリンが使われている)。ピレトリンは昆虫類・両生類・爬虫類に対して神経毒性を持つ。ただ、合成のピレスロイドとは異なり、2~3日経つと分解されるらしい(実際に、スプレーした部分についての忌避効果は2日くらいしか続かない)。
殺虫するには除虫菊スプレーまたは捕殺、50~60℃のお湯をぶっかける(熱殺)。
忌避するには防虫ネット。
除虫菊スプレー
リンク
効果:カメムシが息絶える、または虫の息となる。スプレーした部分には、2日ほどカメムシが寄り付かなくなる。
【補足】
除虫菊とは……キク科ヨモギギク属。殺虫成分としてピレトリンを含有しており、殺虫剤や蚊取り線香の原料として利用された(現在は合成ピレトリンが使われている)。ピレトリンは昆虫類・両生類・爬虫類に対して神経毒性を持つ。ただ、合成のピレスロイドとは異なり、2~3日経つと分解されるらしい(実際に、スプレーした部分についての忌避効果は2日くらいしか続かない)。
捕殺
方法:バケツにポリ袋をセットし、どんどん落とし込んで、ポリ袋を閉じる。
効果:一網打尽。
50~60℃のお湯をぶっかける(熱殺)
方法:水道水、沸騰した湯を1:1で混ぜると、約60℃のお湯ができる。これをジョウロでかける。効果:カメムシが息絶える。
【補足(お湯なんかかけてエダマメは大丈夫なのか?)】
調理の際、しなびた野菜をシャッキリさせる裏ワザとして、50℃のお湯に浸すという方法がある。カット野菜ですら温浴で元気になるんなら、畑の野菜にかけてもええんちゃうか? と思い立ち調べてみると、実際にイチゴの病害予防にお湯が使われているらしい(60℃のお湯を直接かけて葉の温度を20秒間50℃にする)。
そこで、エダマメの葉、茎、サヤの部分に直接お湯をかけてみたところ、特に害は見受けられなかった。葉、茎、サヤに対してはお湯をかけても問題ないと判断した。ただし、花や出始めのサヤについては繊細ゆえに、直接お湯をかけると害が出そうな気がする。また、葉茎にかける場合でも、上記イチゴ栽培に習い20秒間以内にとどめるのが安全。
防虫ネット
方法:株全体を覆う。効果:カメムシが付かなくなる。
【補足】
除虫菊スプレーにも2日程度の忌避効果があるけれど、都度スプレーするのは手間とお金がかかる。極めてオーソドックスに、防虫ネットを張るのが一番カンタン。カメムシ対策なら1mm目の安いネットで十分。ちなみに、エダマメは虫媒花ではないので、ネットを張ったままでちゃんと結実する。
効果がなかった方法
いずれも、今回の実験ではカメムシに対する殺虫・忌避効果は認められなかった(スプレー等した直後は、カメムシが逃げるもののすぐにまた戻ってきてしまう)。ニームオイル
希釈水をスプレーするも、効果なし。市販の有名どころを2種類試してみたけどアカンかった。ニンニク・トウガラシ
超激辛サドンデスソース50倍希釈水に、ニンニクひとかけすり下ろしを加えたものをスプレーする。カメムシには効果がなかった(が、葉をかじる系の害虫に試してみたい)。酢
穀物酢50倍希釈水をスプレーする。酢のニオイを嫌がって近づかないとの情報もあるが、今回の実験では全く効果なし。草木灰
灰をぱあーっと振りかけたり、水に溶かしてスプレーするも、効果なし。木酢液
希釈水をスプレーしたり、原液を容器に入れて株元に置きニオイを放散させるも、効果なし。ミカンの皮
乾燥したミカンの皮を焼酎に漬けたエキス50倍希釈水をスプレーするも、効果なし。コーヒー
インスタントコーヒーでコーヒー液を作り、スプレーするも、効果なし。ギンナンエキス(ジャダム式天然農薬)
水2.5リットルにギンナン(果肉付き)500gを入れ、5時間煮込んだエキスを水で約30倍に希釈し、スプレーする。このレシピは現代農業2018年6月号308~310頁に掲載されていたもので、ほぼ全ての虫を制御できるとあったのだけれど、残念ながら今回の実験では目立った効果を得られなかった。スプレーする前に比べて若干、カメムシの数が減ったかな~というくらい。作るのに結構手間がかかった(&くさかった)だけに無念。
気門封殺剤(粘着くん)
デンプンの粘着力でもってアブラムシやハダニ、ちっちゃい芋虫を殺虫できる粘着くん。さすがに対象項目外のカメムシには効果なし。今後の防除スタイル
基本は防虫ネット
結局のところ、現時点では、カメムシ防除にはネットを貼るのが最も簡単かつ確実といえそう(果実の吸水害には袋掛けを)。害虫とはいえ、みだりな殺生は心苦しいしね……。どうしようもないときは、捕殺orお湯or除虫菊
ネットの隙間から入り込んで大発生しちゃった場合には使わざるを得ないだろう。背が高くなるナスなど、ネットを張りにくい野菜にカメムシが付いたときなども。エダマメをコンパニオンプランツにするのは難しい
書籍などでよくマメ科のエダマメはいろんな野菜のコンパニオンプランツになると紹介されている。空いた場所にスポット的に植えるといい、とも。しかし、まともに収穫するにはネットが必要だとすれば、スポット植栽は無理かなぁ~いちいちエダマメのみにネットをかけるというのが実践的でないもの。お湯防除の展望
今回、虫対策として使ったけれど、イチゴ栽培では病気対策として使われているお湯! 家庭でも簡単に、安価に用意できるお湯! 散布するのにマスクや手袋も不要なお湯! この可能性を知り得たのが、最たる成果かもしない。今後は、ウリ科のうどんこ病、ナシの赤星病、バラの黒星病対策に試してみたい。もっとも、バラについては病気の発生時期に繊細な新芽や蕾・花弁が付いていることも多い。そのため、お湯害がでる危険もあり、慎重に実験しなければ……と考えている。おわりに
今回試した方法以外に、天然の忌避剤情報を見つけたらまたチャレンジしてみようと思っている。特に、コンパニオンプランツとしてミントを植えると忌避できる、との有力情報をぜひ試してみたい(今回は成株ミントを用意できなかった)。虫との闘いは続くッ