野山に混じりて「はんぺん」取りつつ、堆肥づくりに使いけり。
カントリーエレベーターで貰ったもみ殻がたまってきたので、堆肥を作ってみよう。初めての試みづくしだ。
分解菌を誘致する
とある河川敷の竹藪にやって来た。
お目当てはこれ。土着菌のコロニー、通称「はんぺん」。その存在は聞き知っていたものの、探すのは初めて。ほんまにあるんかいな……と地面を探ってみたら、いきなりヒット! はんぺんの名のとおり、白くてふわふわ。レジ袋いっぱい採取できた。
堆肥枠を作る
堆肥枠についてはコンパネ製がメジャーだけれど、今回は、水稲の育苗トレイと結束バンド(ジップタイ)で作ってみることにした。結束バンドは耐候性、育苗トレイの穴を通る幅のものを用意した。
育苗トレイ8個を結束バンドで連結した枠を2段作った。四隅と中間地点に支柱を通し、上下がずれないようにしている。育苗トレイは1個30×60㎝なので、この堆肥枠は120×120×60㎝(864リットル)になる。
ちなみに育苗トレイはホームセンターで129円、結束バンドは368円だったので、費用は計2438円。これならコンパネと角材で作るよりも安上がりと思う。軽いし、耐久性もありそう? 堆肥枠を小さめに組み直すことも可能。
もみ殻堆肥作りの工程
材料
・もみ殻 約100kg(45リットル袋7kg弱×15)
・米ぬか 約30kg
・土着菌コロニー(はんぺん) レジ袋いっぱい
・水
※C/N比=30くらいにしてみた
有機物などに含まれている炭素(C)量とチッソ(N)量の比率で、炭素率ともいう。C/N比がおおむね20を境として、それより小さい(つまりチッソが多い)ほど、微生物による有機物分解が早く、すみやかにチッソが放出され(無機化)、反対にC/N比が大きいほど分解が遅く、むしろ土の中のチッソが微生物に取り込まれる(有機化)といわれている。―ルーラル電子図書館より引用
米ぬかとはんぺんを混ぜる
はんぺんを適当にちぎって、米ぬかと混ぜる。
もみ殻→米ぬかはんぺん→水の順で積む
堆肥枠にもみ殻を一袋投入する。
米ぬかはんぺんを振りかける。
水をジョウロでまく(今回は、溜めていた雨水を使った)。水は、これでもか!というほどたっぷりかけた方が発酵しやすいそう。この繰り返しでどんどん積んでゆく。
平らにならすのに、竹の熊手が便利だった。
もみ殻15袋でちょうどいっぱいになった。強度が不安なので、上に乗って踏むことはしていない。最後に水をかけて、ビニールで覆う。
今日はとりあえず、ここまで。うまくいけば、3日後には発酵して温度が60℃にもなるらしいけど……ほんとにできるの!?(不安)
作業時間:3時間
3~4日後、内部温度を計測し60~70℃になっていればOK→そのまま置く
1週間後。仕込んだ時より、もみ殻がしっとりしている(表面付近までぽつぽつと白い菌が回っているのが見えた)。近寄っても匂いは特に気にならない。ただ、ビニール蓋を取ったときに、ふわっと発酵臭がした。
支柱に温度計をくっつけて、中心付近に差し込んで温度を測る。仕込んだ当日から、ちょくちょく温度を測っていたところ(変遷は下記)、今日はついに50℃達成。外気温は6度しかないのに! 中はあったかいんだ~。すごいな~。なんかもうこのプールに飛び込みたい!(えっ)
11/29 約10℃(外気温と同じ)
12/04 約45℃
12/06 約50℃
切り返す(1回目)
10日~2週間すると、内部温度が下がり始める。ここで、1回目の切り返しを行う。乾燥気味なら散水する。その後再び温度が上がり始める。
11/29 約10℃(外気温と同じ)
12/04 約45℃
12/06 約50℃
12/08 約40℃
12/10 約35℃
12/12 約15℃
2~3日前から急激に温度が下がったので、1回目の切り返しを行う。
ビニール蓋をめくってみると、表面で、
もみ殻に紛れ込んだコメが発芽してる! コメは10℃以下では発芽しないらしい。内部温度が50℃まで上がっていたので、表面も温かくなって発芽できたのだろう(※最近の外気温は最高8℃程度)。
さて、切り返しを始める。まず、枠の縁にあったもみ殻(表層と、堆肥枠に近接していた部分)をすくっていく。
ここで、もみ殻がカラカラに乾燥しているのに気付く。温度が急激に下がったのは、乾燥して発酵が止まってしまったから? 堆肥枠に使用している育苗トレイは穴も空いているし、最近風が強かったので、水分が蒸発しやすかったのかも。
次回、堆肥を仕込む際には、もっと水をじゃんじゃん掛けた方がよさそう。大きいブルーシートですっぽり覆ってしまうのもいいかも。雨が降ったらシートを外して給水させるのもアリ?
堆肥枠を1段、移動。
もみ殻にがんがん水をかける(今回も溜めていた雨水を使用)。スコップで混ぜて全体に水分を含ませる。
縁にあったもみ殻が今度は中心に来るよう山型に置く。
今まで中心にあったもみ殻を今度は縁になるよう、山裾に置く(水も含ませた)。
雨水をがんがん使っていたら、なくなってしまったので、お風呂の残り水も使って散水していく。
堆肥枠をさらに1段移動、積み重ねる。
もみ殻を全部移動し終わった。堆肥枠の強度が不安ながら、上に乗って踏み固めてみた。ら、堆肥枠が円形に広がっちゃったけど(笑)、まあなんとか大丈夫。
最後にビニール蓋をした。これでまた2週間ほど置いておく。
今回、雨水90リットル、お風呂の残り水150リットルくらい使って散水した。次、雨が降ったら上から散水してみようと思う。仕込み後、60℃いかず温度が下がったのは水分不足のせいと思われるからだ。水分不足は発酵不足! 気をつけねば……
作業時間:4時間30分。
切り返す(2回目)
2週間程度で内部温度が下がり始める。ここで、2回目の切り返しを行う。
仕込み当日からの温度推移をグラフにしてみた↓
前回の切り返し後に、温度が60℃に急上昇した。これで目標の温度達成。うれしい。やはり、水を大量投入して踏み固めたのが良かったのかな。
ただ、実は60℃に達していた2日間は、周囲5mくらいに発酵臭が漂っていた(汗)。50℃の時はそれほど気にならなかったのに。どんなニオイかというと、もみ殻が発酵している感じの(ってそのまんまや)……なんかちょっと牛小屋チックな……(大汗)。これじゃスメルハラスメントではないか。どうしよう。もう住宅街では仕込めないな……。
とりあえず、せっかくここまで来たので、このまま最後まで作ってみよう。ビニール蓋をめくってみる。ぱっと見で、前回よりも、もみ殻の色が濃くなっているのがわかる。
縁に位置していたもみ殻を、今度は中心になるよう置いていく。
内部は飴色のような、栗毛の馬のような色になっている。前回、水をじゃんじゃん含ませたので、そんなに乾燥していない様子。全体的にしっとり加減。堆肥枠の外周に接するもみ殻のみ、乾燥気味だ。乾燥している部分のみ散水した。
もみ殻のカサが減ったので、堆肥枠もちょっと縮めてみよう。育苗トレイを1枚取り外し、結束バンドで留め直す。八角形から七角形へトランスフォーム。
縮めた堆肥枠を横にセット。引き続き、もみ殻を移動させる。
適時、もみ殻に乗って足で踏み固める。堆肥枠の際まで際どく攻めてみる。育苗トレイがきしむけれど、まあ大丈夫。
2段目の堆肥枠もセット。上下がずれないように、角に支柱を通している(黄緑色の棒)。
ちょうどいい分量で収まった。
ビニール蓋をかけて終了。
作業時間:1時間
寝かせる
2回目の切り返し後、2週間ほど経過すると、堆肥として使える。半年~1年寝かせるとなお良い。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
参考にした書籍
現代農業2016年10月号 特集「いざ、畑をモミガラ天国に」89頁,農文協